2006 Fiscal Year Annual Research Report
SOX転写因子群による中枢神経系の分化と領域化をゼブラフィッシュを用いて解明する
Project/Area Number |
04J08463
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 雄一 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | sox遺伝子 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
これまでに、グループB1 sox遺伝子(sox2,sox3,sox19a, sox19b)の機能を阻害するために、モルフォリノオリゴヌクレオチドを作製し、その影響を調べた。 その結果、4つのグループB1 sox遺伝子を同時に阻害した(ノックダウンした)胚において、明らかに重度な影響が見られた。これまでの結果から、group B1 sox遺伝子が初期の神経系の形成に重要であり、グループ内でほぼ共通の役割を担っているということを明らかになった。 本年度の研究によって新たに以下のことを明らかにした。 1.ウェスタンブロッティング法を用いて、ノックダウン胚で標的遺伝子のタンパク質量が実際に低下していることを確認した。 2.ノックダウンの影響は、グループB1 sox遺伝子のmRNAを共導入することによって緩和された。4つの遺伝子の内、どのmRNAを共導入しても同様に緩和されることを明らかにした。 3.ノックダウン胚の影響を詳細に解析するために、in situハイブリダイゼーション法を用いて、既知の様々な遺伝子の発現がどのように変化しているかを調べた。 4.ノックダウン胚では、グループB1 sox遺伝子(sox2,sox3,sox19a, sox19b)の発現量が増加していることがわかった。 5.bmpの発現が低下しているように思われ、75% epiboly期の胚において、将来表皮になる領域で発現する遺伝子の発現領域が縮小していた。 6.将来感覚器になる領域(prepracodal領域)特異的に発現する遺伝子の発現が異所的に観察され、その発現量も低下していた。 7.前頭部領域において、いくつかの遺伝子で著しい発現の変化が見られた。 8.ノックダウン胚において、中胚葉領域特異的に発現する遺伝子の発現を調べたところ、変化は見られるものの、その変化は劇的なものではなかった。 以上の結果から、グループB1 sox遺伝子が発生の初期の段階で中枢神経系の形成、特に頭部前側領域の形成において、重要な役割を担っていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)