2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質と海馬へのGABA作動性ニューロンの分配メカニズム
Project/Area Number |
04J08481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 大介 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GABA作動性ニューロン / 大脳皮質 / 細胞移動 / グルタミン酸脱炭酸酵素 / 辺縁層 / 脳室層 / 経時観察 / 脂溶性色素 |
Research Abstract |
大脳皮質や海馬を構成する主要なニューロンのひとつであるGABA作動性ニューロンは、発生期に大脳基底核原基で生まれた後、大脳皮質および海馬に向かって脳表面と平行な方向へ移動することが知られているが、その移動経路や様式は未だ完全には明らかになっていない。この問題は大脳皮質や海馬に分布するGABA作動性ニューロンの分配機構を知る上で非常に重要なテーマである。この問題を明らかにするために、私は、GAD67-GFPノックインマウス大脳皮質におけるGFP陽性細胞、すなわちGABAニューロンの動態観察、およびGAD67-GFPノックインマウス大脳皮質内への脂溶性色素DiDの注入とDiD/GFP両陽性細胞の分布観察を行った。動態観察の結果、大脳皮質へと移動するGABA作動性ニューロンは大臓皮質脳室層において、様々な方向へ活発に移動していることが明らかになった。また注入実験の結果、大脳皮質辺縁層においてDiD注入部位から遠く離れた様々な方向で、DiD/GFP両陽性細胞が観察された。また、これらの細胞の一部は皮質板へと先導突起を伸ばしていた。以上の結果より、GABA作動性ニューロンは大脳皮質辺縁層において様々な方向へ長距離移動した後、大脳皮質における最終的な目的地である皮質板へと垂直に下降して辿り着くことが明らかになった。この結果は、将来大脳皮質に分布するGABA作動性ニューロンが、大脳皮質辺縁層で様々な領域へ分配されている可能性を示唆するのみならず、一旦大脳皮質へと分配された細胞が、その後さらに移動を続け、海馬へと進入していく可能性をも示唆している。これらの可能性を検証するために、今後はこれら分配されたGABA作動性ニューロンの最終的な停止位置、およびその後の分化運命を特定するための実験を進めていくつもりである。
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