2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅裕 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Toll-like receptor / NF-kB |
Research Abstract |
自然免疫系は、細菌やウイルスなどの病原体の侵入を監視しそれを排除する生体防御システムである。自然免疫系がひとたび微生物の存在を探知すると炎症性サイトカインを産生し、生体内で炎症を引き起こす。それと同時に、T細胞やB細胞といったリンパ球の活性化を誘導し、侵入してきた微生物に対する感染防御機構を成立させる。この自然免疫系における微生物の認識に関与する細胞膜貫通型受容体としてTLRファミリーが知られている。また、TLRファミリーの細胞内領域と相同な細胞内領域を有するIL-1受容体ファミリーは、TLRファミリーの活性化と同様にNF-kBやAP-1などを活性化し、TNF-a, IL-6やIL-12といった炎症性サイトカインなど多数のタンパク質の発現を誘導することが知られている。それらTLR/IL-1Rを介して発現誘導されるタンパク質の一つであるIkBzを欠損するマウスを作製したところ、TLR/IL-1Rリガンドの刺激による、IL-6,IL-12といったある種の遺伝子の発現がほとんど認められなくなった。しかし、IkBz欠損細胞においてもTLR/IL-1RリガンドによるNF-kBやAP-1などの転写因子の活性化は認められること、また、IkBz自身が核内タンパク質であることから、転写レベルでのIkBzのそれらの遺伝子への関与が示唆された。そのメカニズムとして、NF-kBの構成タンパク質であるp50との相互作用が示唆され、TLR/IL-1Rシグナル伝達経路においてIkBzの正の制御因子としての機能を明らかにした。今回の研究成果は、TLR/IL-1Rシグナル伝達経路における遺伝子発現が、従来考えられてきた1段階発現制御ではなく、IkBzの事前の発現が必要不可欠であるという新たな概念を提唱した。
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Research Products
(1 results)