2006 Fiscal Year Annual Research Report
太古代の地球環境解析・復元のためのポルフィリン化合物の多次元同位体比解析法の研究
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04J08513
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
力石 嘉人 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 窒素同位体比 / クロロフィル / ポルフィリン / テトラピロール / マレイミド / 同位体比質量分析計 / ガスクロマトグラフ / 同位体比質量分析計 |
Research Abstract |
本年度得られた最も重要な成果は、GC/C/IRMSを用いたポルフィリン化合物の窒素同位体比測定法を開発したことである。これは、 (1)マレイミド標準物質の合成 (2)ポルフィリン(テトラピロール)化合物のマレイミド(モノピロール)化 (3)GC/C/IRMSによる合成マレイミドの窒素同位体比分析 (4)サンプルの測定 で構成される。 ポルフィリン化合物は、藻類のクロロフィルに由来する含窒素有機化合物であり、現世の生物試料や海水中、堆積物・堆積岩、さらには石油などの化石燃料からも見つかる。そのためポルフィリン化合物は、太古代から現世の窒素循環を解析するうえでの最も信頼できるプロキシィとして考えられている。しかし、これまでのポルフィリン化合物の窒素同位体比の測定には、EA/IRMSが用いられており、その同位体比測定には多量の試料(1分子あたり、数μmol窒素、クロロフィル量で約2mg)が必要であった。これは例えば、外洋表層水のクロロフィルの窒素同位体比を測定するためには、数十キロリットルの海水が必要なことになる。そのため、ポルフィリン化合物の窒素同位体比研究は非常に少なかった(数報の論文が報告されているだけである)。本研究で開発したGC/C/IRMS法は、測定に必要な試料量が少ない(1分子あたり、数nmol窒素)というアドバンテージがあり、本法を用いることで測定に必要な試料量の大幅な減少(1/1000以下)が達成される。すなわち本法が、今後、太古代から現世の窒素循環を解析する研究において重要なツールになると言える。これらの成果は、現在論文を投稿中である。
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