2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥村 健治 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 組織幹細胞 / 内胚葉 / 肝前駆細胞 |
Research Abstract |
目的と仮説/既に報告されている肝臓の幹細胞(肝幹細胞)は、アルファフェトプロテインやサイトケラチン19の様な特徴的なマーカーを発現している。ネスチンは中間径フィラメントであり、神経幹細胞に特異的に発現している事が知られている。最近、遺伝子改変マウスを使った研究で、肝臓前駆細胞にネスチンの発現が報告された。我々は肝臓前駆細胞を用いて、神経細胞への分化を検証した。 方法/ヒト肝臓を分散して得られた非実質細胞分画より、無血清培養にて肝臓前駆細胞を分離した。前駆細胞は免疫染色、フローサイトメトリー解析及びマウス肝臓内への移植実験により細胞の性質の解析を行った。更に神経細胞への分化誘導の為に、ニューロスフェア法で培養した。ニューロスフェア法で培養された肝臓前駆細胞は、定量PCR法、免疫染色及び脳組織内への移植実験により神経細胞への分化能を評価した。 結果/平板上培養の前駆細胞は、アルファフェトプロテインとThy-1抗原が陽性で、サイトケラチン19とネスチン遺伝子を発現していた。加えて細胞質内ラミニンが陽性であった。肝臓内に移植した場合、前駆細胞はアルブミンを産生する肝細胞様の細胞に分化した。これらの前駆細胞をニューロスフェア法を用いて培養した場合、細胞は凝集し増殖してスフェアを形成した。これらのスフェアでは、ネスチン遺伝子の発現量増加とラミニン及びサイトケラチン19遺伝子発現量の減少が同時に起こっていた。スフェア形成細胞の細胞質内では、ラミニンの消失とネスチンの発現が見られた。ラミニンコート培養皿に付着させると、スフェア細胞は伸展してアストロサイトマーカーGFAPを発現した。脳内に移植したスフェア細胞は、脳組織内に生着してGFAP陽性細胞に分化していた。 結論/肝臓及び神経組織の前駆細胞は、共にネスチンをマーカーとして発現している。幹細胞の分化能や細胞の性質は、インビトロでの操作により変化させる事が可能である。
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Research Products
(2 results)