2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経系類似の情報処理を目指した非線形電気化学振動子集団の機能化
Project/Area Number |
04J08645
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮北 康之 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非線形 / 電気化学 / 周期振動 / 同期 / カオス / 神経回路網 / 集団挙動 / 不導体皮膜 |
Research Abstract |
非線形電気化学振動子を複数、同一の電解溶液中で駆動すると、それらは溶液中に広がる電位勾配により相互作用し、様々な同期現象を発現させる。平成17年度では、振動子の集団的同期パターンと振動子間の結合との間の関係を実験的に明らかにすると共に、連成電気化学振動子の縮約モデルを用い理論との一致を確かめた。一方、実際に脳において観測されている神経活動の同期現象の多くは、振動子間の同期・非同期が急速に切り替わる、非周期的・過渡的なものであり、この性質を再現するためにカオスダイナミクスを取り入れることが理論分野から提案されている。平成17年度ではさらに、これまでの連成電気化学振動子系にカオスダイナミクスを取り入れるべく努力した。実際用いる電気化学振動系では、周期的な振動条件から、外部抵抗などの外部パラメーターを変化させることにより、非周期的振動が現れる。しかしながら、広範囲なパラメーター領域における振動子の振る舞いの詳細を観測からも明瞭なカオスへの分岐構造を確認できなかった。非周期的振動領域で得られた時系列データを、振動スパイクの間隔についてリターンマップの描画すると、放物線を見いだされ、リヤプノフスペクトル解析を行なうと、正の最大リヤプノフ指数を持つことから合わせて、この非周期振動は決定論カオスであると推定した。これら知見は博士論文としてまとめた。さらに、2つの連成カオス振動子系についても検討を行なった。溶液のみを介した結合では、明瞭な相互作用効果を確認できなかったが、共通の外部抵抗を介して相互作用させることにより完全同期を確認した。
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Research Products
(3 results)