2006 Fiscal Year Annual Research Report
チオスルフィニル基を有する化合物の合成、構造、反応に関する研究
Project/Area Number |
04J08660
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉田 佐奈枝 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チオスルフィニル基 / チオノサルファイト / チオスルホキシド / 1,2,5-チアジアゾリジン1-スルフィド |
Research Abstract |
申請者は、既に環状チオノサルファイト(-OS(=S)O-)の合成と単離、その構造と性質の解明に成功した。本研究では次の段階として、チオスルフィナートROS(=S)Rの合成と、その性質を明らかにすることを目的とする。最終的には、ジアルキル、もしくはジアリールのチオスルポキシドRS(=S)Rの合成と、その性質を明らかにすることを目的とする。 昨年度は、1,2-オキサチオールを出発物質とするチオスルフィナートの合成検討を行った。しかし、不安定なチオスルフィニル(>S=S)基を十分に安定化することができず、酸化、もしくは、還元された化合物を得たのみであった。そこで、本年度は次の二つの検討により、>S=S基の安定化を図った。 1:金属錯体による、>S=S基への直接的な安定化検討。 硫黄との相性がよく、安定した錯体を単離しやすいといわれるPtを使って検討を行った。しかし、既に単離に成功している環状チオノサルファイトとの反応でも錯体は得られず、加水分解生成物であるジオールのみを得た。 2:窒素原子と、その上に置換基を導入することによる、>S=S基隣接位の電子的な安定化検討。 昨年に引き続き、種々のジアミンと一塩化硫黄との反応を検討した。その結果、窒素原子上に電子供与性基を置換したN,N'-ジメチル1,2-ジフェニルエチレンジアミンと塩化硫黄との反応で、1,2,5-チアジアゾリジン1-スルフィド(-NS(=S)N-)を得た。しかし、この化合物は不安定であり、カラムやHPLC中にほとんど分解してしまうことが分かった。今後は、ジアミンの嵩高さによる速度論的な安定化と、窒素原子上の置換基による電子的な安定化による単離を検討し、その構造と性質の解明を行いたい。
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