2005 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリア光化学系遺伝子群の環境変動に応じた発現調節機構とその生理的意義
Project/Area Number |
04J08661
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村松 昌幸 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シアノバクテリア / 光化学系I / クロロフィル合成 |
Research Abstract |
シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803は、強光への順化過程において光化学系I(系I)複合体量を減少させる。この調節を欠くpmgA変異株は、長時間の強光培養により生育阻害を示すことから、強光下で系I量を減少させることは生存に必須な調節であると考えられる。しかし、強光シフトにより系I量が減少するメカニズムは全く明らかになっていない。これまでに、pmgA変異株では上記特徴に加え、強光下における細胞あたりクロロフィル量が、野生株に比べ大幅に増加することが明らかとなっている。そこで、pmgA変異株に対してクロロフィル合成阻害剤であるレブリン酸を添加し、強光下での細胞あたりクロロフィル量を野生株程度に抑制すれば系I量も野生株程度まで抑制されるのか、検証を試みた。その結果、レブリン酸を添加したpmgA変異株では、系I反応中心サブユニットであるPsaABのタンパク質量が野生株並に抑えられた。このことは、強光下での光化学系I複合体量の抑制には、クロロフィル量の減少が必要であり、pmgA変異株ではこの調節の欠損により系I量増加を引き起こしている可能性を強く示唆している。そこで次に、pmgA変異株がどの様な調節の欠損により、強光下でクロロフィル量を低く維持できないのかを調べた。強光シフト後のクロロフィル合成酵素遺伝子群の発現をノーザン解析により調べたところ、シフト後12時間において、合成経路初期段階を制御しているhemA遺伝子の転写産物量が、pmgA変異株では野生株に比べ多くなっていた。そこで、シフト後12時間での5-アミノレブリン酸合成活性を測定したところ、pmgA変異株では野生株に比べ、約2倍活性が高くなっていた。以上の結果から、強光下での光化学系I量抑制には、クロロフィル合成を抑制することが重要であり、中でも合成初期段階での調節が特に重要であることが示された。
|
Research Products
(1 results)