2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08682
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤井 真生 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中世チェコ / 王権 / 都市 |
Research Abstract |
昨年度は『史林』87-3号に「13世紀チェコ王権の政策における都市の役割」を公刊したが、本年度はその内容をさらに掘り下げるため、マイクロ複写で購入した史料Codex iuris Bohemiciを、その他Codex diplomaticus et epistolaris regni BohemiaeやRegesta diplomaticus nen non epistolaris Bohemiae et Moraviaeなどとあわせて精読に励んだ。また、一年目にチェコで購入した最新の研究書からも新たな知見を得ている。中世チェコにおける王権と都市に関する研究は、いわゆる「首都」形成と植民都市建設の2つの軸が考えられるが、本年度は後者を中心的に扱ってきた。これに関連して、5月28日に国際日本文化研究センターで行われた「王権と都市に関する比較史的研究」共同研究会においては、「中世チェコにおける王権の都市創出」と題した中間発表を行った。 一方、昨年度の途中から「外来・よそ者」と「我々・チェコ」の対比にも関心を持ち、とりわけ内部に存在する「モラヴィア」と外部からやって来る「ドイツ」の描写の仕方の変遷から、「チェコ・チェコ人」意識の形成やその変化を考察している。この研究にあたっては、Fontes rerum Bohemicarumのうち、12、13世紀に成立した『コスマス年代記』、『続コスマス年代記』と、14世紀以降に成立した『いわゆるダリミル韻文年代記』、『ズブラスラフ年代記』、『プルカヴァ年代記』などの比較を中心に置いている。『ズブラスラフ年代記』はかなり読み進めることができ、現在はドイツ人に対する君主の態度や、共同体の結集力をもたらす外部要素としての観点から考察の整理を進めている段階である。
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