2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生の分子メカニズムの解明と中枢神経再生への応用
Project/Area Number |
04J08774
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
奥山 範子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 運動神経再生 / EAAC1 / エピジェネティクス因子 / Dnmt1 |
Research Abstract |
EAAC1発現へのエピジェネティクス因子の関与 運動ニューロンの生存に関与する神経細胞型グルタミン酸トランスポーターEAAC1はマウス損傷運動ニューロン特異的に発現抑制を受けており、これがマウスにおける神経細胞死の原因と考えられる(Kiryu-Seo and Kiyama, unpublished data)。EAAC1遺伝子は転写開始点付近にCGに富んだ領域を持ち、エピジェネティクス因子による転写制御を受けている可能性が考えられた。そこで、エピジェネティクス因子のひとつであるDNAメチル化転移酵素(Dnmt1)の発現をin situ hybridization法にて検討した結果、Dnmt1 mRNAがマウス損傷運動ニューロンで顕著に発現上昇していることが明らかになった。 Dnmt1のEAAC1発現への関与を検討するため、分化させた培養神経PC12細胞にDnmt阻害剤である5-Aza-deoxycytidine処置を行った。その結果、内因性EAAC1 mRNAの発現量は阻害剤濃度依存的に増加することが明らかとなった。また、HDAC阻害剤であるトリコスタチンA処置により内因性EAAC1 mRNAの発現量が増加することが明らかとなった。これらのことから、EAAC1 mRNAの発現にエピジェネティクス因子の関与が示唆された。 次にエピジェネティクス因子阻害剤処置・未処置後のEAAC1ゲノム転写開始点付近のメチル化状態をbisulfite sequencing法を用いて解析した。その結果、PC12細胞におけるエピジェネティクス因子阻害剤処置・未処置によるメチル化状態の変化に顕著な差は見られなかった。これらのことから、エピジェネティクス因子阻害剤によるEAAC1発現制御にはDNAのメチル化変化ではなく、エピジェネティクス因子を含んだ転写調節因子複合体などを介した何らかの制御が関与していると考えられる。
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