2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08819
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 敬子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 文化 / 感情的発話 / 文脈依存性 / 視線 / 顔 |
Research Abstract |
過去の研究では、感情的発話の理解において、日本人はアメリカ人よりも意味内容に加え、それがどのように発せられるか(語調情報)に注意を向けやすいことが示されてきた。このような文化差は、相互協調的自己観が優勢な日本人は相互独立的自己観が優勢なアメリカ人よりも関係性に関する手がかりを重視しやすいことと関連している。今年度は、このような関係性情報に対する敏感さの程度が果たして「他者からの視線」による影響を受けるのかどうかを日米で検討した。本研究では、アメリカ人にとって他者からの視線は自分に対する興味を意味するのに対し、日本人にとってそれは自分への脅威を意味すると考え、他者の視線がある場合に、アメリカ人においては関係性情報への注意が促進されるのに対し、日本人においては関係性情報への注意が抑制されると予測した。61名のミシガン大学のアメリカ人学生および51名の北海道大学の日本人学生が本研究に参加した。参加者は、快・不快の声の調子で読まれた快・不快な意味の単語(感情的発話)を聞き、その語調を無視してその単語の意味の快・不快を判断するよう求められた。参加者は、判断時に快・不快のラベルとしてそれに対応した顔表情が表れる条件(顔条件)と表れない条件(コントロール条件)のいずれかに割り振られた。感情的発話の理解に関する過去の研究に基づくと、コントロール条件においては、日本人のほうがアメリカ人よりも無視すべき語調情報に注意を向けやすくそれを無視することができないだろう。一方、顔条件においては、もしも視線の意味が文化によって異なるとすれば、むしろアメリカ人のほうが日本人よりも無視すべき語調情報に注意を向けやすくそれを無視することができないだろう。結果はこの予測に一致した。このことは、視線の意味に関する文化差を反映し、その有無によって日米における関係性情報に対する敏感さが変化することを示唆するだろう。
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Research Products
(2 results)