2005 Fiscal Year Annual Research Report
火星大気大循環とダストストームの発生・発達機構に関する数値的研究
Project/Area Number |
04J08851
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 芳幸 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 火星 / 大気大循環 / 数値シミュレーション / 惑星大気 |
Research Abstract |
本年度は火星におけるダストストームの発生・発達機構を調べるために、昨年度高解像度化を行った火星大気大循環モデルを用いて、これまでに一般的に使われていたよりも3-8倍高い解像度(格子間隔約1.5°)でのダスト巻き上げ実験を実施した。 実験から得られた、大気中に浮遊するダストの光学的厚さは、北半球の夏の時期に小さく、北半球の秋、冬、春の時期に大きくなっており、その値はおよそ0.2-1.5程度であった。この光学的厚さの季節変化の傾向とおおよその値は、定性的にこれまでに行われてきた衛星観測から得られているものと整合的である。 ダストの光学的厚さが増加する時期にあたる北半球の秋の時期に注目し個々のダスト巻き上げ現象を調べてみると、最も顕著なものは傾圧波動に伴い形成される前線に関係して生じていた。前線構造は、これまでに一般的に使われてきた解像度でのモデル計算では構造がはっきりせず、本研究で行っているような高い解像度での計算によって明瞭に表現されるようになったものである。このように前線に関係して発生したダストストームの形態は、探査機で観測されている弧状ダストストームと似ており、本研究の結果はこれらのダストストームの発生機構の理解に貢献するものと考える。 前線に対応したダストの巻き上げに加えて、この時期には標高の高い山の付近で、周期的にダストが巻き上げられていた。ダストは主に日中に山の北斜面で巻き上げられている。これは周囲の平均風の分布と、山を回り込む風の分布、そして日中に地面での応力が大きくなりやすいことが原因となっていると考えられる。このような局所的なダスト巻き上げ現象はこれまでにはあまり報告されておらず、高解像度モデル計算がダスト巻上げ過程の理解に重要な貢献をすることができる可能性を示唆する。 上記の研究結果は既に学会で発表しており、学会誌に発表するために準備中である。
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Research Products
(2 results)