Research Abstract |
非希釈分散系固液二相流における非線形慣性項の役割を調べることを目的として,低レイノルズ数流れを理論解析(特異摂動法)と数値解析(渦法)の両面から扱った. 近年の世界的な渦法の研究から,高精度な解析するには,格子形成を施したRedistribution法が有用であることが分かっている.しかしながら,これまでの手法では,微粒子同士が非常に近接したような流れを扱うことは出来ない.そこで,粒子群が近接している流れから粒子間距離がある程度離れた流れまで統一的に扱う事の出来る手法を留学先のフランスで共同研究者と共に検討した.その結果,境界適合格子(各物体近傍)と直交格子(物体からの遠方場)を組み合わせることによって,複数物体が非常に近接した流れにも適用できる手法を確立した.また,この手法は空間解像度と時間ステップがある条件を満足するように設定すれば,任意のレイノルズ数に対して扱うことが出来るという特徴を持っている. 理論解析では,流体中を浮遊する粒子の挙動に対して,非線形慣性項がどの程度影響するのかを調べるために,円柱が急回転・急発進したときの非線形慣性項を検討した.用いた手法は,積分方程式に基づく特異摂動法である.現在のところ,揚力成分は非線形慣性項によって誘起され,レイノルズ数に依存することを明らかにしているが,詳細については,現在,フランス人共同研究者と検討中である. 上述のように,渦法で高精度な解析をするためには,格子形成を用いるのが有用であるが,気泡群の挙動の解析のような複雑な界面を有する流れをターゲットとする場合,格子形成を用いない計算手法の確立が望まれる.そこで,三次元噴流を模擬した流れと一対の渦輪の干渉問題をターゲットとして,格子フリーな渦法を検討した.その結果,歪み速度テンソルの固有ベクトル方向に渦粒子を算術平均によって分割すれば,シミュレート可能であることを明らかにした.
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