2005 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における森林依存性小コウモ類の保全生物学的研究
Project/Area Number |
04J08885
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河合 久仁子 北海道大学, 低温科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 森林依存型小コウモリ類 / 希少種 / Mytois ikonnikovヒメホオヒゲコウモリ / Myotis mystacinusホオヒゲコウモリ / ミトコンドリアDNA / チトクロームb配列 / テレメトリー調査 / ねぐら |
Research Abstract |
本研究では森林依存型小コウモリ類の中でも捕獲してもその外部形態では種判別が困難な「Mytois ikonnikoviヒメホオヒゲコウモリ」と「Myotis mystacinusホオヒゲコウモリ」を具体的な対象種とした.希少種であるこれらの種は,捕獲申請一つにつき2頭までしか捕殺が許可されてこなかったために,道内における正確な分布域がわかっていない.加えて同所的に生息している可能性も指摘されており,基礎的な調査が早急に求められている.また,他の森林依存性小コウモリ類についても分布の偏りが予想されていることから,捕獲地点の情報を多く集め,道内の正確な分布状況について明らかにする必要がある.本年度は以下のような成果を得た. 1・昨年度に引き続き北海道内のできるだけ広範囲で,ホオヒゲコウモリまたはヒメホオヒゲコウモリについては生体試料の採集をおこなった.この際,道内での捕獲協力者にも呼びかけ,できるだけ多くの地点から多くの個体の情報および試料を集めた. 2・集めた試料からDNA抽出を行い,ミトコンドリアDNA Cytb配列データから種判別を行った.また2種を野外で識別できる可能性のある外部形態についての報告があったため,この形態による識別の有用性について,Cytb配列比較により検討をおこない,その確実性を明らかにした.この結果は雑誌に投稿し、受理された. 3・昨年度に引き続き、森林依存型小コウモリ類のヒメホオヒゲ,ホオヒゲ2種およびコテングコウモリ,チチブコウモリについてはテレメトリー調査を実施し,それぞれの種についてねぐらの特定をおこなった.この結果,テレメトリー調査の有用性を確認し,種ごとにねぐらの選択性が異なる可能性が示唆された.このうち、コテングコウモリの結果については雑誌に投稿し、受理された。 4・札幌で開かれた国際哺乳類学会(IMC9)において、コウモリの保全に関わるシンポジウム開催の補佐および発表をおこなった。また、学会後には海外の研究者をフィールドに招待し、意見交換、技術交換を目的にフィールド調査をおこなった。これにより、本研究に対して、有用な意見を得ることができた
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Research Products
(3 results)