2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫サイトカインGBPの作用機構の解明:GBP受容体の単離と高次構造解析
Project/Area Number |
04J08900
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
織田 康則 佐賀大学, 農学部, PD特別研究員
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Keywords | サイトカイン / 血球活性化 / 生理活性ペプチド / 受容体 |
Research Abstract |
アワヨトウ幼虫から単離された昆虫サイトカインGrowth-blocking peptide (GBP)の作用機構の解明、及びGBP受容体の同定を自的として、GBPの作用によりリン酸化される血球タンパク質の解析を行った。その結果、GBP作用後1〜5分で急速にチロシンリン酸化が生じる分子量77kDaの膜タンパク質(P77)を発見した。P77のリン酸化はGBPの作用後早期に起こり、血球細胞の膜成分への局在が予想された事から、GBP受容体そのものである可能性が示唆された。そこで、P77の1次構造決定に向けて精製を試みた。アワヨトウ幼虫7000頭から血球を採取し、GBPを5分間作用させた血球のタンパク質を調整した。この抽出液を出発材料とし、鉄イオンアフィニティークロマトグラフィー、抗リン酸化チロシン抗体を用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーによってチロシンリン酸化タンパク質の精製を行った。続いて精製されたP77のトリプシン分解物をMAS/MAS解析することにより、数カ所の部分ペプチド配列を得た。この配列を基にしてプライマーを設計し、PCRにより部分的なcDNAを増幅し、最終的には血球cDNAライブラリーより全長cDNAを得た。ホモロジー検索、ドメイン検索の結果、P77は一回膜貫通型の新規の受容体様分子と推測された。また、予想される細胞内ドメインには多数のチロシン残基、非受容体型チロシンキナーゼが結合するITAM (immunoreceptor tyrosine-based activation motif)が存在していた。現在、昆虫細胞への発現系を準備しており、P77がGBP受容体か否か、血球細胞内シグナル伝達系においてどのような役割を果たしているかを明らかにする予定である。
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