2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラフトに集積するシグナル伝達タンパク質群の構造生物学的研究
Project/Area Number |
04J08909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小橋川 敬博 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | NMR / Crk-II / 構造生物学 / SH2 / SH3 / アダプタータンパク質 / リン酸化 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続きCrk-IIおよびCrk-Iの構造解析を行った。Crk-Iは強いトランスフォーム活性を示すがCrk-IIではそれが抑えられていることが知られている。2つの分子はsplicing isoformであり、Crk-IはSH2-SH3、Crk-IIはSH2-SH3-SH3のドメイン構造より成る。構造解析の結果、Crk-Iでは2つのドメインが独立して運動しているが、Crk-IIでは3つのドメインがコンパクトにまとまった構造をとることがわかった。これまで、C端側SH3(cSH3)の標的分子は未知であり、その役割は不明であった。今回の構造解析より、C端側領域がCrk-IIのコンパクトな構造の形成へ関与していることが示唆された。また、Crk-IではSH2およびnSH3の標的分子認識部位は分子表面に完全に露出していたが、Crk-IIではSH2の標的認識部位は分子表面に露出しているがnSH3は分子内部に埋もれていた。実際に結合実験を行うとnSH3だけのコンストラクトおよびCrk-Iに比べてnSH3の標的分子への結合がCrk-IIでは弱くなっていた。これらの結果は、Crk-IIが非リン酸化状態においても制御を受けていることを示唆している。 Crk-IIは今回明らかになった制御機構に加えて、リン酸化による制御を受けることが知られている。そこで、リン酸化体の調製法を検討した。試験管内もしくは大腸菌体内でのAblとの共発現によるリン酸化を試みた。その結果、使用するAblのコンストラクトにCrk-IInSH3の結合配列を付加するか否かでリン酸化の効率が大きく異なることが判明した。 本研究成果の一部は12月に特許出願を行った。また、12月に福岡で行われた第28回分子生物学会年会および2月に東京で行われたタンパク3000産官学連携フォーラムにおいてポスター発表を行った。
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