2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラフトに集積するシグナル伝達タンパク質群の構造生物学的研究
Project/Area Number |
04J08909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小橋川 敬博 北海道大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | NMR / Crk-II / 構造生物学 / SH2 / SH3 / アダプタータンパク質 / リン酸化 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きリン酸化Crk-IIの構造解析及びCrk-IIとCrk-Iの機能解析を行った。非リン酸化Crk-IIの3つのドメインをコンパクトにまとめるのりしろ領域への変異体を作成し、(1)N端側SH3(nSH3)への標的分子の結合能、(2)細胞運動性、(3)増殖活性、(4)細胞形態がCrk-Iに近い挙動を示すようになるとの結果を得ており、構造解析の結果と一致する。これまでに行われていたC端側SH3(cSH3)の機能解析と合わせると、Crk-IIのC末端領域が制御に密接に関わることを示した。今回の構造解析より、C端側領域がCrk-IIのコンパクトな構造の形成へ関与していることが示唆された。また、リン酸化Crk-IIの構造解析の結果より、SH2のみではなくnSH3への標的分子の結合もまた妨げられることが示唆され、結合実験により実際に結合が弱くなることが確認され、リン酸化がCrk-IIのシグナルをストップさせることが示された。本研究成果の一部は8月にドイツのゲッチンゲンで行われた「第22回 生体系の磁気共鳴に関する国際会議」においてポスター発表を行った。 昨年度までにキナーゼと基質に互いに結合しあうドメインペアを人為的に導入することでリン酸化を効率的に行えるとの結果を得ていた。また、本年度は本手法を用いることでリン酸化Crk-IIを効率的に脱リン酸化できるとの結果を得た。ラフトに集積することが知られているVavのリン酸化体を調製することにも成功した。本研究成果の一部については12月に特許の追加出願を行った。また、6月に京都で行われた「第5回 産学官連携推進会議」、6月に仙台で行われた「第5回 産学連携フォーラム in仙台」、2月に東京で行われた「タンパク3000総合シンポジウム」においてポスター発表を、11月に京都で行われた「第45回 NMR討論会」において口頭発表を行った。
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