2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおける植物PNAウイルスの宿主決定機構の解明
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04J08920
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Research Fellow |
藤崎 恒喜 独立行政法人農業生物資源研究所, 生理機能グループ・耐病性研究チーム・学振PD
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Keywords | 植物RNAウイルス / 宿主因子 / Tobacco mosaic virus / Cucumber mosaic virus / シロイヌナズナ / TOM1 / THH1 / TOM2A |
Research Abstract |
シロイヌナズナcpr5変異体においてBrome mosaic virus(BMV)は1細胞レベルでのウイルス増殖が昂進する。その作用機作を明らかにするため、シロイヌナズナ細胞由来の試験管内ウイルスRNA翻訳複製系の構築を試みた。本年度は実生からのカルス培養を含むいくつかの細胞株を用いて種々の脱液胞化条件を試したが未だ成功には至っていない。さらに本年度では、ウイルス増殖に関わることが示唆される他の候補宿主因子についても解析を行った。具体的にはTobacco mosaic virus(TMV)の増殖に必要な宿主遺伝子TOM1遺伝子のホモログ、THH1遺伝子、同じくTMV増殖に関わるTOM2A遺伝子のホモログ、TOM2AH1、TOM2AH2、TOM2AH3遺伝子、さらに、BMVの酵母内での増殖に必要なLSM1遺伝子のシロイヌナズナにおけるホモログLSM1H1、LSM1H2遺伝子について多重変異体や過剰発現体を作成し、ウイルス増殖への関与を解析した。その結果、TOM1遺伝子のホモログTHH1遺伝子はTMV増殖への貢献度は低いものの、TMVの増殖をサポートする機能を持つことが明らかとなった。一方で、TOM1遺伝子ファミリーにおける変異体はCucumber mosaic virus(CMV)等の増殖に顕著な影響を示さなかった。TOM2A遺伝子ファミリーを形成する遺伝子についても多重変異体を作成中であるがその中でtom2a tom2ah1 tom2ah2三重変異体では植物体が小さくなった。これはTOM2A遺伝子ファミリーの植物体内での本来の機能を解明する上での一助となるであろう。lsm1h1 lsm1h2二重変異体は致死であったため、lsm1h1およびlsm1h2それぞれ単独の変異体中でのTMV、CMV等の増殖を調べたが、野生型に比べ顕著な差が認められなかった。
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