2004 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア沿岸地域における地域間交渉に関する孝古学的研究
Project/Area Number |
04J08968
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Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
木山 克彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 北東アジア / サハリン / アムール流域 / 北海道 / 土器製作伝統 / 交渉関係 / 広域編年 |
Research Abstract |
本年度は、香深井B遺跡(北海道礼文島)、目梨泊遺跡(北海道北見枝幸町)での発掘調査、ロシア沿海州の遺跡調査に参加し、出土資料のうち土器について分析を行った。またサハリン国立大学、ロシア科学アカデミー(ウラヂオストック)、ハバロフスク州立郷土資料館に収蔵されている土器資料の分析も行った。対象時期は初期鉄器時代(紀元前1千年期)、オホーツク文化(4〜10世紀)、金代(12〜13世紀)に属するものである。サハリン、アムール流域、北海道の各地域はそれぞれの時期に直接、間接的な影響関係を持っており、この関係の通時的な様相の解明は北東アジア地域の先史〜中世にかけての歴史特性を抽出することに繋がる。当該地域は文献資料が少ない為に、この交渉関係を知りうる資料としては考古資料が適している。本研究では、各時期を通して普遍的に存在し、数量的に卓越している土器を分析対象としている。作業としては、まず各地域の資料を実見し、広域編年の確立に向け整理を行うとともに、地域毎の土器伝統を抽出する作業を行っている。その上で、各地域の土器伝統を比較し、北東アジアにおける通時的な交渉の様相を把握する作業を行っている。 本年度の成果としては、上述の収蔵機関や参加した調査遺跡出土の資料を中心とした論文、報告がある。そのうち、サハリン南部のバザールスコエ遺跡に関する検討では、北海道北部とサハリン南部で続縄文期における共通性が極めて高いことを示した。特に本遺跡検出の集石土坑の分析から、この共通性の高さは遺物での類似に留まらず、生活様式の側面にも及ぶものであったと指摘している。この共通性は後代のオホーツク文化を形成する基盤となったものであろうと論じた。 その他、サハリン中部ウスチ・アインスコエ遺跡出土の鈴谷式土器について検討を加え、当該期における地域性の抽出と編年確立に向けての課題を提起した論文を著している。
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Research Products
(2 results)