2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会秩序の形成と個人の心的機制の相互規定関係に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
04J08988
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
品田 瑞穂 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 一貫性 / 社会的ジレンマ / 内集団ひいき |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会心理学で研究されてきた行動・認知の一貫性が、社会秩序の形成を促進する可能性について検討することである。近年、経済学を中心に、秩序を形成する心的機制についての理論的研究が盛んに行われているが、その多くにおいて、社会心理学がこれまで研究対象としてきた行動・認知の一貫性が、暗黙の前提とされている。このような流れに対し、本研究は、行動・認知の一貫性という個人の心的機制が、社会秩序の形成、すなわち集団内の相互協力状態の達成において、どのような役割を果たしているのかを検討することを目的としている。 本年度は、特に一次の協力行動と、非協力的な他者を罰する二次の協力行動の一貫性に焦点を当て、これらの行動が、特に集団内の相互協力状態を達成するために行われるのか、それとも集団という枠組みを越えて、一般的に行われるのかを検討する実験を行った。具体的には、実験参加者は、2つの集団に分けられ、他の参加者に資源を提供するか、すなわち協力するかどうかを決定し、次に、他者に資源を提供しなかった、つまり非協力した他者を罰するかどうかを決定する実験を実施した。この実験では、参加者は自分の属する集団と、自分の属さない集団のそれぞれに対し、罰することができたが、参加者は一貫して、自分の所属する集団に協力し、同じ集団の非協力者を罰するという結果が得られた。この結果から、一次の協力行動と二次の協力行動の一貫性は、特に集団内の相互協力を達成するための心的機制である可能性が示唆された。これらの実験結果をもとに、シミュレーションによる理論的検討の準備を進めている。また、この研究成果に基づき、本年度は英語論文を1本、日本語論文を1本それぞれ執筆し、学会発表を3回(国内2回、海外1回)行っている。
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Research Products
(2 results)