2005 Fiscal Year Annual Research Report
産卵回遊時のシロザケ脳内における神経ホルモン遺伝子の発現変動とその調節機構
Project/Area Number |
04J09104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小沼 健 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | サケ / 回遊 / ホルモン / 遺伝子プログラム / GnRH / mRNA / ステロイドホルモン / 転写調節因子 |
Research Abstract |
サケの産卵回遊の時間軸により規定される「ホルモンの遺伝子発現プログラム」を明らかにするため,母川回帰にともなう脳内のsGnRH遺伝子および下垂体中の下垂体ホルモン遺伝子の発現変動を解析した.さらに,下垂体細胞の初代培養系を用いて,sGnRHおよび性ステロイドホルモンの効果を調べた.今年度はこれらの結果を原著論文2報、総説1報として公表した.なお,本研究の成果の一部を発表した国際比較内分泌会議では,最優秀ポスター賞を受賞した.内容を以下に示す. 1)1997-1999年にわたり,石狩川を遡上するシロザケの脳内各領域に含まれるsGnRH-I,-II mRNA量を測定したところ,遡上にともない脳内全域でsGnRHの遺伝子発現が高まることが分かった(Journal of Neurobiology誌に掲載). 2)2001-2003年にかけて,6-7月および9月にベーリング海のシロザケから採取した下垂体,血液を解析した.その結果母川へと回帰する成熟個体では,下垂体中の生殖腺刺激ホルモン(GTH)サブユニット遺伝子の発現量,血中の性ステロイドホルモン量ともに,未成熟個体の10-100倍にまで高まることが分かった(国際比較内分泌学会で最優秀ポスター賞(Jimmie Dodd Memorial Prize)を受賞). 3)サクラマスの下垂体細胞を用いて,sGnRHおよび性ステロイドホルモンが下垂体ホルモンの遺伝子発現に及ぼす効果を調べたところ,性成熟の後期には,性ステロイドホルモンがプロラクチン,ソマトラクチン,および転写調節因子Pit-1の遺伝子発現を変化させることが分かった(General and Comparative Endocrinology誌に掲載).さらに同じ細胞を用いて,転写調節因子FF1およびERaの遺伝子発現を調べ,GTH遺伝子の発現調節機構についても知見を得た(投稿準備中).
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Research Products
(3 results)