2004 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病原因遺伝子産物DJ-1とその結合蛋白質のX線結晶構造解析と機能相関
Project/Area Number |
04J09111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本坊 和也 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DJ-1 / DJBP / プロテアーゼ活性 / X線結晶構造解析 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
本年度はDJ-1のプロテアーゼ活性およびDJBPの結晶構造解析に関する研究を行った. 1.DJ-1のプロテアーゼ活性について DJ-1のプロテアーゼ活性はC末端ヘリックスα9によって阻害されているという仮説を検証するため,α9を欠失させた変異体DJ-1(1-174)を作成し,プロテアーゼ活性の測定を行った.しかしながら,native体との有意な活性の差は認められなかった.このことから,α9はDJ-1のプロテアーゼ活性の制御に直接関与しているのではないと考えられる. 2.DJ-1とDJ-1結合タンパク質DJBPについて 複合体の結晶構造解析に向けてDJ-1とDJBPとのプルダウンアッセイによる複合体形成の確認を行った.しかしながら,CBB染色では有意な結合を確認することが出来なかった.このことから,DJ-1とDJBPとの結合はきわめて弱いものであると予想され,複合体の構造解析は難しいと考えられた. 次いで,DJBP全長の結晶化を試みたが現在までに結晶は得られていない.DJBP全長に対してプロテアーゼによる限定分解を試みたところ,いくつかの領域が得られた.これらの領域について結晶化を試みたところ,トリプシンによる限定分解で得られた,DJBPの229残基から329残基に相当する断片について結晶が得られた.この結晶について水銀誘導体を用いたMAD法により解析を行い,分解能1.6Åの構造を得た.得られた構造はEF-hand様の構造を有していた.EF-handはカルシウム結合モチーフであるが,本構造ではカルシウムに相当する電子密度は見られなかった.構造上でカルシウム結合部位に当たる部分のアミノ酸を見てみると,一般的なカルシウム結合配列を有していないことから,この領域はカルシウム結合能を有していないものと考えられる.
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