2006 Fiscal Year Annual Research Report
官能性ホスフィンの分子設計を基軸とする反応場開発と触媒反応への応用
Project/Area Number |
04J09222
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落田 温子 北海道大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | トリアルキニルホスフィン / ホスフィン配位子 / 金触媒 / カチオン性金錯体 / アルキン / 環化異性化 / π受容性 |
Research Abstract |
本年度は新規なホスフィン配位子を開発し、これの金錯体がアセチレン化合物の環化反応を促進する触媒となることを見いだした。開発した配位子は、3つの嵩高いシリルエチニル基がリン原子上に置換したトリアルキニルホスフィンである。これらの誘導体は空気酸化や加水分解に対して非常に安定で、取り扱いやすい化合物である。また、ホスフィンとしての塩基性は非常に弱く、トリアリールホスファイトに匹敵する塩基性度を持つ。すなわち強いπ受容性配位子である。 本年度においては、このホスフィンが配位した1価のカチオン性金錯体(R_3PAuNTf_2)をアルキンの環化異性化反応に適用し、この金錯体が高い活性を持つことを明らかにした。分子内にアルキンを持つβ-ケトエステルの環化異性化反応では、配位子の立体効果が顕著に見られ、最も嵩高いトリエチニルホスフィン配位子を持つ金錯体が、これまでのホスフィン配位子では実現できなかった6員環形成反応に効果的であった。この触媒系はエンイン化合物の環化異性化を含め、末端アセチレンの6、7員環形成反応に適用できる。 内部アルキンをもつβ-ケトエステルは、立体ひずみのため、非常に反応性の乏しい基質と見なされていた(F.D.Toste et al. J.Am.Chem.Soc.2004,126,4526.)。しかし、嵩高いトリエチニルホスフィン配位子を持つ金錯体を触媒に用いると、内部アルキンの環化異性化反応もスムーズに進行することがわかった。
|
Research Products
(2 results)