2006 Fiscal Year Annual Research Report
シオダマリミジンコのメタ個体群におけるカタストロフの生起パターン及びその影響
Project/Area Number |
04J09239
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白鳥 和佳子 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタ個体群動態 / カタストロフ / シオダマリミジンコ / 局所個体群動態 / 生息地の空間構造 / 波浪 / 個体群増加率 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シオダマリミジンコのメタ個体群において、生息地の空間構造と環境変動によってカタストロフの生起パターンがどのように決定されているか、またその結果、メタ個体群動態はどのように影響されているかを明らかにすることである。 今年度は、カタストロフの生じやすさに強く影響を及ぼしている要因と、カタストロフが生じていない場合に個体群増加率に強く影響を及ぼしている要因を、それぞれ明らかにした。解析には、5月〜7月のメタ個体群動態の時系列データ(2日インターバル、39個の局所個体群)と、同期間の環境変動のデータを用いた。2日間での局所個体群増加率が-1.0以下の場合に、カタストロフが生じていたと仮定し、以下の解析を行った。 1.カタストロフの生じやすさに強く影響を及ぼしている要因を明らかにするために、応答変数をカタストロフの生起の有無、説明変数を2日前の個体群密度・タイドプールの容積・タイドプールの立地(海抜)・タイドプールの塩分濃度・降雨量・波浪の強さとしてロジスティック解析を行った。その結果、海抜が低く、波浪が強く、さらに、降雨量が少ないほど、カタストロフが生じやすいことが明らかとなった。 2.カタストロフが生じていない場合に個体群増加率に強く影響を及ぼしている要因を明らかにするために、応答変数をカタストロフが生じていない期間の個体群増加率、説明変数を解析1と同じ変数群として、重回帰分析をおこなった。その結果、2日前の密度が低く、タイドプールの容積が小さく、降雨量が多いほど、個体群増加率が大きいことが明らかとなった。 以上の結果より、以下の知見を得た。 1.本調査系においては、内的要因によるカタストロフは生じにくく、外的要因(特に波浪)によるカタストロフが生じている。 2.降雨後には個体群増加率が上がる。その理由としては、タイドプール内の水質が改善されることが考えられる。
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