2004 Fiscal Year Annual Research Report
テンサイにおける花粉稔性回復遺伝子のクローン化と機能解析
Project/Area Number |
04J09257
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松平 洋明 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞質雄性不稔性 / 花粉稔性回復遺伝子 / テンサイ |
Research Abstract |
細胞質雄性不稔性(CMS)の分子機構解明を目的に,テンサイの花粉稔性回復遺伝子(Rf1)のクローン化と機能解明を目指している。Rf1のクローン化は,効率的な花粉親系統選抜などテンサイ育種に多大な貢献をもたらすだけでなく,核-ミトコンドリア間相互作用の解明の一助となると期待される。本年度は,遺伝学的に絞り込んだRf1遺伝子座をカバーするゲノムクローンの全塩基配列を決定し,その特徴づけを行った。 Rf1座乗領域は,塩基配列から約240kbpであると判明した。GENSCANやBLASTを利用した解析によれば,この領域には少なくとも28個のORFならびに2個のレトロエレメントが予想される。この中に,他の植物種においてRfとしてクローン化されたPPR遺伝子が見つかった。このPPR遺伝子がRf1であるか否かを調べるため,full-lengthのcDNAをクローン化した上でオルガネラ局在シグナルと思われるアミノ末端側配列と緑色蛍光タンパク質(GFP)の融合タンパク質を利用して細胞内局在を調査した。その結果,このPPRタンパク質は色素体タンパク質であることがわかった。よって,Rf1はPPRタンパク質ではなく,新奇のミトコンドリアタンパク質をコードすることが確実である。 Rf1は花粉形成の場である葯組織で発現するはずである。そこで,Rf1によって花粉稔性の回復した植物の葯total RNAを供試したRT-PCRにより,葯発現を示す17個のORFを特定した。このうち,遺伝子産物の細胞内局在がミトコンドリアと予想されるORFは2種(プロテアーゼ様配列および機能未知タンパク質をコード)である。現在,これらをRf1の最有力候補遺伝子として解析を進めている。
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