2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化損傷DNA前駆体2-OH-dATPの哺乳動物細胞における変異誘発機構の解明
Project/Area Number |
04J09270
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 和哉 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | mutagenesis / 2-OH-dATP / 8-OH-dGTP / Y-family DNA polymerase / dinB / umuDC |
Research Abstract |
1.損傷ヌクレオチドのCOS-7細胞への導入法および変異のスクリーニングのための標的プラスミドの細胞内での複製および維持、回収について検討を行った。初めにマイクロインジェクション法によるヌクレオチドおよびプラスミドの同時導入を試みたが、インジェクションした細胞で複製が遅延したことから、この方法では複製時まで導入した損傷ヌクレオチドの濃度を保つことが困難であると考えられた。そこで現在は、プラスミドにさらに薬剤耐性遺伝子を組み込むことで細胞内に安定に維持した状態で損傷ヌクレオチドを導入する系を検討中である。 2.polηを欠損したXP-V細胞核抽出液を用いて試験管内複製反応を行い、HeLa細胞核抽出液をコントロールとして損傷ヌクレオチドによる変異誘発を比較した。XP-V細胞核抽出液中ではバックグラウンドの変異体率が上昇したため2-OH-dATPによる変異誘発は検出できなかった。一方、8-OH-dGTPによる変異誘発はHeLa細胞核抽出液中と同様に観察され、8-OH-dGTPによる変異誘発にpolηは大きく関与しないことが示唆された。 3.Y-familyポリメラーゼと損傷ヌクレオチドによる変異誘発の関連について調べるため、dinB(polIV)およびumuDC(polV)を欠損した大腸菌株に損傷ヌクレオチドを直接導入し、解析を行った。dinB欠損株では2-OH-dATPによる変異誘発が抑制されたことからdinBは2-OH-dATPによる変異誘発を促進することが示された。この促進作用はDinBのポリメラーゼ活性に依存した。逆にumuDC欠損株では2-OH-dATPおよび8-OH-dGTPによる変異誘発が共に促進され、過剰発現株では抑制された。このumuDC遺伝子産物による変異誘発抑制は、ポリメラーゼ活性を消失したUmuC D101N置換体とUmuDの発現によっても観察された。
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