2006 Fiscal Year Annual Research Report
シナプトタグミンI/チュブリン結合の生理機能の解明
Project/Area Number |
04J09329
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
本多 敦子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | チュプリン / 神経終末 / シナプトタグミン / シナプス小胞リサイクリング / シナプス小胞プール / 細胞骨格蛋白質 / ショウジョウバエ / 神経筋接合部 |
Research Abstract |
我々はこれまでの研究により、ショウジョウバエ神経筋接合部において神経刺激に伴い、二量体および重合状態の細胞骨格蛋白質チュブリンが神経終末の末梢部に分布することを示している。また、チュブリンの重合/脱重合の薬理学的抑制が、神経終末でのチュブリンの分布様式に作用すると同時に、リサイクル小胞の神経終末での分布を変化させることをFM色素解析により示した。今回、二量体及び重合状態で神経終末に分布するチュブリンの、小胞リサイクリングに対する生理的作用を、電気生理学的解析により調べた。高頻度刺激によるシナプス応答の減退や減退からの回復は、放出可能な小胞数や小胞リサイクリング処理能力にそれぞれ依存すると考えられている。チュブリンの重合抑制は、高頻度刺激による著しいシナプス応答の減退を誘発するが、その回復過程は正常であった。一方、神経終末でのチュブリンの分布の抑制は、著しいシナプス応答の減退に加えて、回復時間の遅延が認められた。このことからチュブリンの二量体は、回復過程に必要な速い小胞リサイクリングに作用しており、重合状態では放出可能な小胞数の維持に作用していることが示唆された。これらの結果を第29回日本神経科学学会および第36回北米神経科学学会においてポスター発表した。また、チュブリンによる小胞リサイクリング制御機構についての我々の見解を、学会誌「生化学」のミニレビューに掲載した。 更に、以前にシナプトタグミンのチュブリン結合領域として報告した部位の、アミノ酸置換変異体を作製し、この3令幼虫においてFM色素、電気生理学的解析を行なった。この変異体の神経筋接合部では、リサイクル小胞のプールの欠損や放出可能な小胞数の著しい低下が生じ、成虫においても歩行障害などが観察された。これらのことから、シナプトタグミンのチュブリン結合領域がシナプス小胞リサイクリングに深く関与していることが示唆された。
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