2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本における女性労働市場の構造的特徴についての研究
Project/Area Number |
04J09348
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
藤本 加代 関西学院大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 新卒労働市場 / 一般職 / ジェンダー / 統計 / 総合職 |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は、新卒女子労働市場のメカニズム解明であった。具体的には、学校と日本企業の連携構造の特徴を経験的に実証することであった。そのために、統計解析を使用して静的な構造分析研究を行い、経験的データから抽出された構造上の特徴を抽出した。以前に収集した個人新卒の就職活動に関する実際のデータを統計分析に使用した。統計分析では、学生の性別が内定した職種にどのように影響を及ぼしているかを調べた。その際、上記の関係が、就職が内定した企業の特徴を示した変数により(従業員数と業種など)どのように変化するかも調べた。また、学部をコントロール変数としてモデルに加えた。その結果、女子のほうが男子より、「総合職」ではなく「一般職」として内定する確率が高かった。また、この傾向は、「中小企業」(従業員数を1000人未満と定義)よりも「大企業」(従業員数を1000人以上と定義)のほうが強かった。業種別においては、鉄鋼業などの比較的歴史のある業界のほうが、IT産業など比較的に新しい業界よりも新卒女子を「総合職」としてでなく「一般職」として採用する傾向が強かった。金融業などの比較的保守的な業界においても同様の結果が得られた。上記の統計分析結果より、「大企業」ほど新卒女子を「総合職」ではなく「一般職」として採用する傾向があり、また、歴史のある業界や保守的な業界ほどそのような採用方法がみられることが分かった。このような傾向は、各新卒個人でなく各企業を分析単位として扱った場合は統計学的に有意なレベルは下がるが、それでも、内定結果における男女差は統計学的に有意な差が見られた。
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Research Products
(1 results)