2005 Fiscal Year Annual Research Report
MAIL遺伝子破壊マウスを用いたアレルギー疾患の基礎的研究
Project/Area Number |
04J09556
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大沼 俊名 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MAIL / NF-κBシグナル伝達系 / 表皮ケラチノサイト / アトピー性皮膚炎 |
Research Abstract |
1.MEF(Mouse Embryonic Fibroblast)におけるNF-κB標的遺伝子の発現動態の解析 MAILはIκBタンパク質の一種である。このことより、NF-κBの活性に与える影響を、その標的遺伝子の発現動態に注目して解析した。具体的にはCcl2、Cxcl2、TNF-α、IL-6、IκBα、IL-1、Cxcl10、Ccl5の8つの遺伝子に注目した。これらの遺伝子は大きく2つの群に分類された。すなわちMAIL-/-のMEFでLPS刺激後の発現が抑制されている群と促進されている群である。このことより、MAILはNF-κBの転写活性を抑制・促進どちらにも制御している可能性が示された。 2.新生仔マウス(MAIL-/-)の組織化学的検索 生後3日の新生仔マウスの皮膚について、皮膚の分化マーカー(K14、K10、filaggrin)、各種のNF-κBサブユニット(p65、p50、relB、c-rel、p52)、IκBαなどに対する抗体を用いて免疫組織化学的な検索を行うとともに、アポトーシスを検出する目的でTUNEL染色を行った。すると、K10やfilaggrinなどの分化マーカーで染色性の低下が認められた。このことよりMAILが表皮の分化に関与している可能性が示された。NF-κBサブユニットやIκBαの染色性には変化は認められなかった。TUNEL陽性細胞の数にも変化はなかった。 3.表皮細胞の増殖 表皮角化細胞の増殖の様子を調べるために新生仔マウスの皮膚を用いてKi-67による免疫組織化学を行った。するとMAIL-/-マウスの皮膚において顕著に増殖細胞数の減少が認められた。さらにin vitroで一定期間表皮角化細胞を培養した後、細胞数を測定した。すると明らかにMAIL-/-の角化細胞の数が少ないことが確認された。このことはMAILが表皮角化細胞の増殖を促進する機能を持っていることを示す。
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