2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の金属活性中心の電子状態と機能および反応制御に関する理論的研究
Project/Area Number |
04J09570
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鷹野 優 三重大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | リパーゼ / エステラーゼ / コンフォメーション / 分子動力学 / 密度汎関数法 / エステル加水分解 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に基づいて、エステル加水分解反応を触媒する酵素であるリパーゼやエステラーゼのアシル化反応における活性中心の制御機構について検討を行った。 酵素は生体内の化学反応において遷移状態を安定化する活性部位を提供している。そのためX線結晶構造解析は酵素反応機構の解明に大きく寄与している。カルボン酸エステルの加水分解を触媒する酵素であるリパーゼやエステラーゼは、種によってアミノ酸配列が大きく異なるにも関わらず、X線結晶構造解析の結果から非常に似た活性部位を形成することがわかっている。リパーゼとホスホン酸エステルの酵素-阻害剤複合体の結晶構造からホスホン酸エステルはある特定のコンフォメーションをとる。ホスホン酸エステルのコンフォメーション特異性と酵素により触媒されるエステル加水分解の反応機構との関係を明らかにするため、分子動力学法を用いてリパーゼ・エステラーゼのカルボン酸エステルの加水分解反応(アシル化)における四面体中間体のコンフォメーション特異性を調べ、密度汎関数法によって得られた酢酸メチルのエステル交換反応におけるコンフォメーション特異性、ホスホン酸エステル阻害剤のコンフォメーションと比較した。分子動力学法により得られたリパーゼやエステラーゼに結合した四面体中間体のコンフォメーション特異性はX線結晶構造で見られるホスホン酸エステル阻害剤のコンフォメーション特異性と異なり、酢酸メチルのエステル交換反応での中間体のコンフォメーション特異性に類似していた。
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Research Products
(2 results)