2004 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞ゲノムの複製機序とその破綻により働く機能的複製制御機構に関する研究
Project/Area Number |
04J09589
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉村 和人 三重大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 複製フォーク / 複製開始点 / R / Gバンド / セントロメア / ヘテロクロマチン / ヒストン / アセチル化 / エピジェネティック |
Research Abstract |
ヒトおよびマウス培養細胞を用い、当研究室で開発した手法により細胞周期S期を通した複製フォークの進行速度を解析した。複製フォークの進行速度はS期を通して大きく変化し、染色体R/Gバンド境界領域が複製するS期中期において最も速度が遅くなることを見いだした。また、その時期はマウス培養細胞ではセントロメア周辺ヘテロクロマチン領域が複製する時期でもあり、実際その領域の複製フォークの進行を解析したところ、S期の他の時期よりも著しく複製フォークの進行が減速していた。そこで、この領域のDNA複製がどのような因子により制御されているのかを調べるために、ヒストンのアセチル化に注目した。通常、この領域のヒストンは低アセチル化を維持しており、非常に凝集したクロマチン構造をとっている。5-aza-2'-deoxycytidineで細胞を処理すると、セントロメア周辺ヘテロクロマチン特異的にヒストンH4のアセチル化が促進することを以前に見いだした。その系を用い、この領域の複製開始点活性化時期と複製フォーク進行速度を解析した。結果として、ヒストンH4の高アセチル化の誘導によりクロマチン構造が緩んだマウスセントロメア周辺ヘテロクロマチン領域は、通常S期中期に複製開始点が活性化されるが、S期初期に活性化された。さらに、複製フォークの進行速度も同時に促進されることを見いだした。このことはすなわち、DNMT1やHDACsによりマウスセントロメア周辺ヘテロクロマチン領域は低アセチル化状態を維持されるが、そのエッピジェネティックなクロマチン修飾機構がこの領域の複製開始点活性化と複製フォーク進行を制御することを示す結果となった。
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Research Products
(2 results)