2005 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞ゲノムの複製機序とその破綻により働く機能的複製制御機構に関する研究
Project/Area Number |
04J09589
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉村 和人 三重大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | camptothesin / DNA二重鎖切断 / 複製フォーク / PARP / NU1025 / 複製開始点 / siRNA / S期チェックポイント |
Research Abstract |
ゲノムDNAをtopoisomerase I阻害剤であるcamptothisin(CPT)により処理するとDNA複製依存的にDNA二重鎖切断を引き起す。DNA複製依存的二重鎖切断に応答し、複製フォークの進行を制御する因子として、poly(ADP-ribose)polymerase (PARP)に着目し研究を進めた。CPT処理により、HeLa細胞の生存率は低下したが、PARP阻害剤であるNU1025を同時に処理すると、生存率はさらに低下した。このことより、PARPはCPTによるDNA損傷に対して何らかの制御機能を持つことが予想された。そこで、CPTがDNA複製依存的にDNA損傷を与えることから、DNA複製に対するPARPの機能を解析した。In vivo複製鎖標識とDNAファイバー法によって、複製フォークの進行速度を解析したところ、CPT処理により速度は低下した。同時にNU1025を処理すると、その低下は有意に回復した。また、PARPファミリーのPARP-1に対するsiRNA処理により、PARP-1をknock downした細胞においても、CPTによる複製フォークの進行速度の低下は有意に回復した。このことにより、PARP-1がCPTによるDNA損傷に応答し、複製フォークの進行を直接的に制御していることを示唆した。また、複製fociパターン解析により、レプリコン(または複製開始点)の活性化への影響を解析したところ、CPT処理により複製開始点の活性化はATR-chk1経路によるS期チェックポイント依存的に抑制されたが、NU1025処理によってはなにも影響を受けなかった。以上の結果より、PARPはS期チェックポイントにより複製フォークの進行が保証された条件のもとで、複製フォークの進行を制御していることがわかった。
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