2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J09591
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大中 一彌 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 構造主義 / 政治思想 / アルチュセール / フランス / レギュラシオン / マキァヴェリ / ソレルス / グローバル化 |
Research Abstract |
平成十六年度は、パリ第十大学での博士論文で取り上げたルイ・アルチュセールの政治思想が論文執筆上の中心テーマとなった。具体的な作業としては、論文「ルイ・アルチュセールの政治思想におけるマキァヴェリの契機」や論文「政治に出会う理論は可能か〜晩期アルチュセールという対象」として博士論文の一部を要約・日本語化した。またこれに合わせて、平成十七年度中に出版予定のアルチュセール『再生産について国家と国家のイデオロギー諸装置』の翻訳をほぼ終了させた。アルチュセール以外にかんする業績では、社会科学高等研究院の研究者セバスチャン・ルシュヴァリエとの共著「グローバル化と日本型モデルの危機〜表象の役割」(仏文)がフランスの書店から二冊の論文集に収められ出版された(フランス日本学会の論文集、および日仏経済学会の論文集)。この論文ではレギュラシオン学派の観点に立ち、九〇年代以降の経済不況における日本型モデルの「危機」を分析し、次年度以降におこなう研究の方向性を準備している。さらに「現代フランスにおける政治哲学」では、標題の通り構造主義系統の思潮だけでなく、戦後フランスの政治哲学を大きく俯瞰した宇野重規氏の著書『政治哲学へ』を詳細に吟味している。なお、上記四本の論文執筆に加え、今年度は国際的な研究組織において二度の報告・討議を行っている。パリ大学での学会報告「政治哲学における語源学的研究の意味」(平成16年9月30日)では、フィリップ・ソレルスの一九七〇年代における「矛盾」の観念の問題性を指摘している。また東京日仏学院の文化ミッション「ミシェル・オンフレ『反逆者の政治』をめぐって」(平成16年10月6日)では司会および討議者を務め、同氏の政治哲学のわが国への紹介に努めた。なお前記以外の翻訳として、バリバール『ヨーロッパ・アメリカ・戦争』、ブルデュー『介入-社会科学と政治行動』を鋭意進めている。
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