2004 Fiscal Year Annual Research Report
季節性と長期性をもつ経済時系列の理論展開と実証分析
Project/Area Number |
04J09596
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
片山 直也 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 時系列解析 / 統計学 / 計量経済学 / 確率論 |
Research Abstract |
研究室を新たに一橋大学経済研究科の山本拓教授の研究室に移動し研究に従事し,必要となる文献を読みながら研究テーマの中で,非定常k-GARMAモデル,SARFIMAモデルのパラメータ推定手法の開発を行った.具体的には, (1)母平均に対する推定量,標本平均または最良線形普遍推定量(BLUE)の漸近性質 (2)差分パラメータ,SARMAパラメータ等の擬似最尤推定量の漸近性質 (3)差分パラメータの検定 を進めた. (1)ならびに,(2)は標本平均の推定量としてのよさ(母平均への強一致性,平均二乗収束)を測るのみならず標本平均により平均を推定した場合でも擬似最尤推定が平均既知のケースと同じ漸近的性質を持つことを示した.上記理論的結果の導出のため,数学の特殊関数,とりわけGegenbauer多項式の性質を示す必要があった.即ち,2より大きいK個のGegenbauer多項式の畳み込み(コーシーの積級数)の和が収束する十分条件を導いた.(3)は,誤差項がk-GARMAモデル,SARFIMAモデルであるような,回帰モデルを考えて,誤差項部分の差分パラメータの検定を行った.これは過去の研究の平均が既知の場合の,差分パラメータの検定の拡張にあたる.これも,回帰パラメータを推定した後に検定統計量を構築したケースが,平均(回帰パラメータ)既知として検定統計量を構築したケースのそれと同じ漸近的性質が得られることが分かった. 研究内容が論文レベルに達したので,現在投稿中の論文に拡張の要求があったこともあり,上記内容を加味し修正版として投稿した. また同時進行で,統計ソフトウェアSASを用いた統計解析方法の本執筆のため,SASに内蔵される関数の研究を行った.
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