2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポストケインジアンの内生的貨幣供給論とケインズの貨幣的経済学
Project/Area Number |
04J09602
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
内藤 敦之 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポストケインジアン / 内生的貨幣供給論 / ケインズ / 貨幣的循環理論 / 表券主義 / ホートリー / 信用貨幣論 / 最後の雇用者 |
Research Abstract |
16年度は、「ポストケインジアンの内生的貨幣供給論とケインズの貨幣的経済学」という課題における全般的かつ基礎的な部分に重点を置き、研究を行った。具体的には、第一に、内生的貨幣供給論においては、貨幣的循環理論の枠組みを再検討し、さらにポストケインジアンの理論との関係についても検討を加えた。第二に、内生的貨幣供給論は、貨幣を軸にした理論であるため、貨幣とは何かといういわゆる貨幣本質論がその基礎に存在しなければならない。そこで、内生的貨幣供給論に整合的な貨幣本質論を展開するために、信用貨幣論における貨幣本質論のサーベイを行った。また、表券主義(貨幣国定説)がポストケインジアン的な文脈において復活を遂げており、それについても貨幣本質論と関係でサーベイを行った。第三に、内生的貨幣供給論の政策論を展開するために、サーベイを行った。そこでは単に内生的貨幣供給論における政策論のサーベイだけでなく、簡潔ではあるが主流派の金融政策論のサーベイも行い、さらに(新)表券主義の積極的財政政策論、「最後の雇用者」論の検討も行った。研究の成果としては、第一に、前年度に投稿し、査読中であった論文を査読の結果、修正投稿し、採用された。題名は、「貨幣的循環理論と流動性選好」(『季刊経済理論』第41巻第3号)と「ホートリーの信用貨幣論-貨幣的循環と銀行-」(『経済学史学会年報』第46号)である。また、「ホートリーの信用貨幣論」という題で経済学史学会で口頭発表も行った。第二に、以前より進行中である研究論文を2005年度の完成を目指し、執筆中である。第三に、貨幣本質論のサーベイを中心に、表券主義との関係を考察した論文を作成中であり、2005年度に学会報告、及び投稿予定である。
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