2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポストケインジアンの内生的貨幣供給論とケインズの貨幣的経済学
Project/Area Number |
04J09602
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
内藤 敦之 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポストケインジアン / 内生的貨幣供給論 / 信用貨幣論 / 表券主義 / 最後の雇用者政策 / 貨幣的循環理論 / ケインズ / 中央銀行 |
Research Abstract |
平成17年度は、「ポストケインジアンの内生的貨幣供給論とケインズの貨幣的経済学」という課題における中心的な部分に重点を置き、研究を行った。具体的には、第一に、内生的貨幣供給論における中心的な論点の一つである銀行の行動、中央銀行の役割、金融市場の役割について、検討を行った。第二に、内生的貨幣供給論は、貨幣を軸にした理論であるため、貨幣とは何かといういわゆる貨幣本質論がその基磯に存在しなければならない。そこで、内生的貨幣供給論に整合的な貨幣本質論を展開するために、信用貨幣論における貨幣本質論の検討を行った。また、表券主義(貨幣国定説)がポストケインジアン的な文脈において復活を遂げており、それと信用貨幣論の関係を検討した。第三に、内生的貨幣供給論の政策論を展開するために、サーベイを行った。そこでは、まず、ポストケインジアンの積極的財政政策論の一環でもある「最後の雇用者」政策のサーベイを行い、さらに社会福祉政策との接点に関しても簡潔にサーベイを行った。また、金融政策に関しては、主流派の金融政策論のサーベイも行い、批判的検討を行った。研究の具体的な成果としては、第一に、貨幣本質論の領域で、信用貨幣論と表券主義の関係を考察する論文を作成し、「貨幣・信用・国家-信用貨幣と表券主義-」という題で経済理論学会で口頭発表を行った。さらに、それを修正して、学会誌へ投稿した。第二に、「最後の雇用者」政策論のサーベイを中心に、その政策的及び理論的位置付けを検討した論文を作成中であり、2006年度に学会報告、及び投稿予定である。
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