2005 Fiscal Year Annual Research Report
重層的なヒトの移動と、都市コミュニティ・アイデンティティの再編成
Project/Area Number |
04J09630
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
五十嵐 泰正 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | グローバル化 / 都市コミュニティ / 人種・エスニシティ / 人の国際移動 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続く上野地区におけるフィールドワークとして、アメ横・仲町通り地区を中心とした防犯パトロールへの参与観察、およびアメ横地区での聞き取り調査に重点を置いて進めた。その経験を踏まえた上で、都市における昨今の「多様性」の称揚とその限界、さらに、「多様性」を管理するための防犯・セキュリティ意識の高まりについて理論的に考察した論考「都市における多様性をめぐるいくつかの断章」を、『年報社会学論集』に発表した。 また、上記の論考と関連して、グローバル化の影響を受けた都市空間において錯綜する「差異化」と「均質化」をめぐる論点について、上野地区の現状を踏まえつつ整理した論考「グローバル化の諸力と都市空間-グローバル都市・東京の「下町」から」を、『新・国際社会学』(梶田孝道編著)の一章として公刊した。この論点は、本稿発表後に比較検討のために行った下北沢地区・柏市での聞き取りや参与観察、ならびにニューヨーク・ブルックリン地区やロウワーイーストサイド地区での視察によってさらに深められており、次年度にはその成果を発表する予定である。 さらに、都市におけるレイシズムの実際の発動と、ローカル・アイデンティティや地域の形成史に関する語りとの関係性に関しての理論的な考察も深め、特に、ロンドンのドックランズ地区における先行研究について整理した論文を、『千葉大学大学院社会文化科学研究科研究プロジェクト報告書第34集 コミュニティ形成におけるメディア経験と語り』に発表した。
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