2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体を構成要素とするナノ相分離構造の構築と機能化
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04J09704
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
向井 知大 国立大学法人東京農工大学, 大学院・工学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イオン液体 / 液晶 / イオン伝導度 / 相転移挙動 / 異方性 / 両親媒性化合物 / イミダゾリウム塩 / フッ化アルキル鎖 |
Research Abstract |
平成16年度は、代表的なイオン液体であるイミダゾリウム塩に非極性基を導入した両親媒性イミダゾリウム塩の分子集合構造及び相転移挙動(液晶性)に及ぼす分子構造の効果について検討し、特徴あるイオン伝導性ドメインの構築を目的とした研究を進めた。 はじめに、有機オニウムカチオンを有する種々のアニオン性両親媒性化合物を合成し、物性評価した。その結果、アンモニウム、ホスホニウムのような脂肪族系カチオンよりも、イミダゾリウムやピリジニウムのようなヘテロ芳香族系カチオンが液晶相発現には有利であることがわかった。さらに、これらのヘテロ芳香族カチオンの環上の水素原子をメチル基で置換した結果、置換メチル基数の増大にともなって液晶形成能が段階的に低下することが明らかになり、液晶相発現の要件に関する知見が得られた。 次に、イミダゾリウム塩のカチオン席に炭化水素(RH)鎖、アニオン席にフッ化アルキル(RF)鎖を導入し、相転移挙動、分子集合構造に及ぼす疎フッ素効果の影響について検討を行った。イミダゾリウム塩、RF鎖、RH鎖の三成分相分離構造が形成されると期待されたが、カチオン、アニオン間の強い相互作用力によってRF鎖とRH鎖は相溶した。しかし、これによって液晶相の熱安定性は改善され、効果的なイオン伝導パスも形成できた。 また、合成した液晶性イミダゾリウム塩にアルカリ金属塩を添加し、相転移温度、分子集合状態の制御を試みた。その結果、塩添加によって融点低下、液晶相熱安定性向上などの効果が得られた。さらに、これらが形成する分子集合体ではイオン伝導度の異方性が観測することができ、イオンの移動方向が分子レベルで制御されている2次元イオンナノドメインであることを明らかにした。
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