2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール代謝及び薬物代謝関連酵素活性別にみた環境要因と生活習慣病との関連
Project/Area Number |
04J09749
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
齋藤 京子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康・栄養調査研究部, 特別研究員-PD
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Keywords | 社会医学 / 循環器疾患 / 高血圧 / 栄養学 / 遺伝子 / アセトアルデヒド脱水素酵素 / 飲酒 |
Research Abstract |
1.アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の新しく発見された-357遺伝子多型の解析 多くの疫学研究により、飲酒とがん、心疾患等のさまざまな疾病リスクとの関係が明らかになっている。近年では、アルコールの代謝に関連する酵素の遺伝的な代謝の違いにより、飲酒とさまざまな疾病リスクとの関連の強さが異なることが報告されている。アセトアルデヒドへの代謝への関与が最も強いALDH2は、日本人を含む東洋人において遺伝子型の違いにより代謝能力が異なることが、487多型としてよく知られている。近年、ALDH2遺伝子のプロモーター部位、-357にG/Aの多型が発見された。この変異はアジア人のみならず、白人、黒人の間でも多型を示している。塩基弛緩部部は、転写因子の結合箇所であり、転写活性因子の1つMAZの結合する配列に生じたものであるので、GアリルとAアリルの間では転写活性に何らかの違いが存在する多型として考えられているが、ALDH2活性との関連に関する疫学研究はほとんどない。そこで本研究は、一般地域住民を対象にALDH2の487多型と357多型を、アセトアルデヒドの曝露指標の1つであるMCVとFulushing反応等との関連を調べALDH2の-357多型による酵素活性の違いを間接的に検証することを目的とした。ALDH2の-357多型とFlushing反応において有意な違いがみられた。-357多型別にみたMCVと飲酒量との関連との違いは認められなかった。 2.健康・栄養調査における「飲酒・喫煙」の質問票の検討 平成14年まで施行されていた国民栄養調査においては、飲酒・喫煙習慣に関して「身体状況調査」の一部として調査員による聞き取り調査(A調査法)と質問紙による自記式調査(B調査法)の2つの方法のよる飲酒・喫煙習慣に関する評価指標に関して相互の比較性を検討することを目的とした。飲酒習慣に関しては、A調査法ではB調査法よりも「飲酒習慣あり」に分類された者が明らかに多かった。両調査法を比較した所、A調査法で「飲酒習慣あり」に分類された者の約半数(46.6%)がB調査法において「飲酒習慣なし」と異なる回答をしていることが分かった(κ係数0.55)。飲酒量に関しても両法では飲酒者の飲酒者の飲酒量が一致しないことが明らかになった。喫煙習慣に関しては両方法とも同じ割合となった。飲酒習慣に関しては経年的に比較することは問題あると考えられた。
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Research Products
(3 results)