2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール代謝及び薬物代謝関連酵素活性別にみた環境要因と生活習慣病との関連
Project/Area Number |
04J09749
|
Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
齋藤 京子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 国際産学連携センター, 特別研究員-PD
|
Keywords | 社会医学 / 循環器疾患 / 高血圧 / 栄養学 / 遺伝子 / アセトアルデヒド脱水素酵素 / 飲酒 |
Research Abstract |
日本人を含む東洋人はアルコール代謝能力に著しい個体差があり、少量飲酒で顔面紅潮(フラッシング反応)等のアルコール過敏症状が出現する者がいる。これは主にアルデヒド脱水素酵素の遺伝的低活性によるものである。特に近年、ALDH2の活性別にみた飲酒と疾病罹患リスクに関する研究が盛んに行われているが、飲酒以外の生活習慣との関連はあまり明らかにされていない。先行研究において、ALDH2の低活性の者では、ALDH2の高活性の者に比べて同一の飲酒量で比較した場合であっても、喫煙をやめた者の割合が有意に高いという報告がある。この理由は不明であるが、タバコの煙にはアルデヒド類が含まれており、ALDH2はその一部の代謝にも関わる可能性があることから、ALDH2の不活性の者が受動喫煙および喫煙をすることで、頭痛、吐き気等の不快感が出現しやすいのではないかと仮説をたてた。本研究は、ALDH2の活性別にタバコの煙に関する自覚症状の比較を行い、ALDH2と喫煙の関連についての基本的な知見を得ることを目的とした。 2005年5月〜6月に調査が行われた8地区の20歳以上の男女を対象とした。ALDH2活性はアルコール症センターの横山らの「簡易フラッシング質問紙法(改訂版)」を用いて判定し、非フラッシング群(非F群)、フラッシング群(F群)に分けた。自記式質問紙による喫煙習慣およびタバコの煙に関する自覚症状の調査(食欲がなくなる、食事がまずくなる、頭痛がおこる、咳がでる、だるくなる、その他)を実施した。本調査に参加した対象者は857人、20歳以上で有効回答があった726人(男性325人、女性401人)を解析対象とした。F群は男性の41.5%、女性の46.5%であった。フラッシング反応と喫煙習慣では、非F群の方がF群のよりも喫煙をやめた者が多かった(12.4% vs. 6.8%)。タバコの煙に関する自覚症状では、食欲がなくなる、食事がまずくなる、咳がでるとした者の割合は、非F群よりもF群において有意に高かった。いずれの自覚症状もない者は、非F群においてF群よりも有意に多かった(24.5% vs. 15.3% P=0.013)。 ALDH2の活性の違いにより喫煙習慣およびタバコの煙に対する自覚症状が、異なることがわかった。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Journal Article] Dietary folate and vitamins B12, B6, and B2 intake and the risk of postpartum depression in Japan : the Osaka Maternal and Child Health Study2006
Author(s)
Yoshihiro Miyake, Satoshi Sasaki, Tetsuji Yokoyama, Yukihiro Ohya, Wakaba Fukushima, Kyoko Saito, Satoko Ohfuji, Chikako Hiyohara, Yoshio Hirota
-
Journal Title
J Affect Disord 96
Pages: 133-138
-