2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランス植民地アルジェリアにおける入植者社会の形成と地中海移民ネットワーク
Project/Area Number |
04J09803
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 晶人 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス史 / 北アフリカ史 / 地中海 / 植民地 / 移民 / コロニアル |
Research Abstract |
本年度の研究費は、下記の研究を遂行するための海外渡航費用およびコンピュータ・文献の購入費用に充てられた。 1.本研究分野においてフランスと並ぶ研究の中心地となっているイギリスに渡航し、同国オクスフォード大学セント・アントニーズカレッジ中東地域センターを拠点として研究調査をおこなった。そして、同大学所蔵の貴重な文献を利用するとともに、北アフリカ地域の近現代史・地域研究の最新の動向を調査し、本研究計画の中心課題である移民現象という問題の位置づけを検討した。 2.植民地期北アフリカ研究の現在の課題は、旧宗主国(フランス)と植民地(アルジェリア)という二項的な枠組みを乗り越えることにある。こうした観点から、植民地独立期以降の研究が1990年代以降蓄積されてきている。その一方で、十九世紀以前についての歴史研究はなおも立ち後れており、とくに入植者社会に注目する本研究のもちうる意義が大きいことが確認された。 3.十九世紀地中海の広域的な政治・経済に大きな勢力を保持したイギリスに残された外交関係史料の分析を行い、先行研究において見落とされてきたエスニック・マイノリティの活動を考察するための貴重な情報を得た。また平行して、フランス当局が作成した各種統計資料や報告書類などを用いて、アルジェリア西部地域における植民都市建設の実態を分析した。この考察は、地方行政制度と移住者集団の動向の関係に重点をおくものである。これらの研究の中間的な成果は、フランス国立科学研究センター・現在史研究所(IHTP-CNRS)主催の研究集会(パリ、2005年1月4日)において発表された。
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