2006 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋沿岸地域における海獣狩猟文化の考古学的研究
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04J09810
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 健 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海獣狩猟 / 銛頭 / 日本列島 / アラスカ |
Research Abstract |
標記の目的のために、本年度は前年度から継続して国内外における調査研究を行なったのに加え、これまでの研究成果の総括と考察を行なった。 縄文時代の銘頭についての資料調査を、北海道と東北地方で行なった。北海道で縄文時代を通じて使用されていた開窩式銛頭を細分・編年した結果、縄文時代前期〜後期を通じてみられる形態・素材の多様性・対極性が晩期になると解消されることが分かった。このような形態変化と狩猟対象との関係についても検討を加えた。東北地方の資料調査においては、現在も意見が分かれている燕形銛頭の起源論に関連する資料をいくつか見出すことができた。また学史上重要な意義を持つ東京大学総合研究博物館所蔵の大洞貝塚出土燕形銛頭の再整理を行なった。 続縄文時代および弥生・古墳時代の銛頭については、これまで北海道と本州各地において調査を行なってきたが、その仕上げとして壱岐対馬を含む西北九州地方の資料調査を行なった。西北九州には独特の銛頭の伝統があり、山陰地方と密接な関連をもって変遷していたことが明らかになった。 アラスカにおける資料調査では、いずれも長い研究史と資料の蓄積をもつ地域である南部カチェマク湾、アリューシャン列島、およびベーリング海セント・ローレンス島の遺跡からの出土資料に対して、体系的な観察を行なった。当該地域の銛頭の型式的変化を読み解く上でも、日本列島におけるのと同様な技術形態学的な視点からの観察・分析方法が、有効であることを確認した。 レプリカを用いた銛頭の使用実験を行ない、どのような場合に銛頭の回転運動が生じるのかについて再検討した。新たな知見も得られているが、実際の資料に適用される回転式/鉤引式の分類基準そのものには変更の必要はない。 以上のような作業に加えて、過去3年間の研究成果を合わせて総合的な考察を行なった。この成果は今後随時公表していく予定である。
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