2005 Fiscal Year Annual Research Report
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04J09813
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
磯本 志のぶ (辻村 志のぶ) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近代日本仏教 / 海外布教 / 宗教者ネットワーク / アジア主義 / 植民地主義 / ナショナリズム |
Research Abstract |
今期の研究実績としては、第一に、前年度に引き続き、「仏教アジア主義」についての研究を深め、本研究の課題である仏教によるアジア布教におけるその役割を明確にすることができた点である。論文「石川舜台と真言大谷派の東アジア布教-仏教アジア主義の形成-」では、明治時代の真言大谷派の宗政家であり、アジア布教を構想した最初の人物である石川舜台(1842-1931)の思想と行動とを軸として、仏教を紐帯とするアジア共同体を構想する、理想としての「仏教アジア主義」が、近代日本仏教の内向けの論理、すなわち近代日本にふさわしい宗教としての仏教像を追求するという意志によって裏打ちされ、東アジア布教という形に結実、実行されてきたことを明らかにした。 第二に、前年度から継続して調査・研究を行ってきた「朝鮮仏教大会」(1929年・朝鮮)について、その成果の一部を日本宗教学会第64回学術大会(2005年9月11日)で発表することができた。また布教僧・水野梅暁(1877-1949)の、仏教大会への関与をはじめとする中国での活動についての資料の整理が新たに進んでいる。またこれまで詳細が不明であった台湾仏教大会(1936年。台湾)についての公式・非公式記録がまとまって発見された。これらの資料を通じて、中国・台湾布教の実態の一端と、布教の土台となる思考とを新しい角度から検討することが可能になる。これらについては次年度にそれぞれ論文にまとめる予定である。
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Research Products
(4 results)