2005 Fiscal Year Annual Research Report
国際法における領域権原論再考-領域の法と領域支配の正統性
Project/Area Number |
04J09848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
許 淑娟 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 領域権原 / 植民地主義 / ベルリン会議 / 領域法 |
Research Abstract |
本研究は、国際法秩序の基盤をなす法的枠組みである「領域権原」概念を問い直すものである。昨年度は、「領域紛争の解決基準の変容-ICJにおけるeffectivitesの用法について」(韓国語)(『ソウル国際法研究』11巻1号)をまとめた。これは、昨年度報告書で記したように、領域権原の現代的意義を昨今の判例に位置付けるものであり、本研究課題の現代的インパクトを再確認する作業だった。今年度は、昨年度の内容を遡る作業を行った。ひとつは理論的に遡る作業であり、もう一つは歴史的なものである。前者の作業は、権原概念に関する法学一般の知見の整理であり、国際法学への影響の程度を確認することである。この作業の里程標として、「Giovanni Distefano, L'ordre international entre legalite et effectivite : le titre juridique dans le contentieux territorial(Edition Pedone,2002,xi+585pp.)」(『国際法外交雑誌』第104号第4号)をまとめた。書評をまとめることによって、合法性と実効性の契機を有する領域権原概念の理論的整理と平行して、歴史的研究、とりわけ植民地主義の背景を探索することの必要性を確認できた。それに伴い、後者の作業を開始した。領域法のパラダイムシフトと目されるベルリン議定書の意義とその射程を、それ以前の植民地化競争の議論を追うことによって、確定しようとした。現時点では、アフリカ大陸の無主地化が、権原論の基盤となり得たという結論を得た。次年度の計画は、引き続き歴史的研究を行いつつ、その成果を現代の国際法ディスコースへと架橋すること、および、博士論文の完成である。
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Research Products
(1 results)