2005 Fiscal Year Annual Research Report
金融システム移行期における銀行組織と金融規制の進化の実証的研究
Project/Area Number |
04J09861
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
鯉渕 賢 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銀行破綻 / イベントスタディ / 金融システム / 債権放棄 / メインバンク / ショック療法 |
Research Abstract |
特別研究員としての研究期間の2年目にあたる本年度は、1篇の論文の査読付き英語雑誌への掲載許可と、1篇の論文の日本語雑誌への掲載許可、3回の学会報告、3回の研究会・コンファレンスでの研究報告を行った。また、英語論文1篇を雑誌投稿中である。 本年度行った一連の研究はいずれも銀行中心のシステムから資本市場中心のシステムへの移行期にある日本の金融システムにおける様々なイベントを考察するという研究課題に沿ったものであるが、大きく分けて2つのテーマを扱った。 第一は、長銀及び日債銀という日本の大手銀行の破綻事例を通じて、銀行破綻が顧客企業の与える影響を、株価および財務データを用いたイベントスタディとして詳細な分析を行った。この方面の研究は、顧客企業のパフォーマンスの指標として株価を用い上場企業に注目した研究、また未上場企業の中小企業を含む大規模データベースを用いた研究という2編の英語論文となった。 第二は、1990年代後半から2000年代にかけて数多く行われた債権放棄事例を扱った研究であり、メインバンクを初めとする主力行が債権放棄をどの程度超過して負担したのかを分析した。直近の研究論文では、こうした近年の債権放棄事例を、産業再生機構の支援案件、過去の債権放棄事例と比較することにより、1990年代の金融自由化と銀行危機を経て、メインバンクの超過負担の程度が大きく低下し、私的整理における伝統的なメインバンクの役割が大きく低下したことを指摘した。
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Research Products
(2 results)