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2006 Fiscal Year Annual Research Report

プルーストにおける絵画の受容論的研究-第三共和制下の美術旅行・美術館・展覧会-

Research Project

Project/Area Number 04J09865
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

荒原 邦博  東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)

Keywordsプルースト / 『失われた時を求めて』 / 美術史 / フランス
Research Abstract

プルースト(1871-1922)の小説『失われた時を求めて』における絵画と美術批評の問題を、私はこれまで美学的な観点から研究してきた。その過程で、美術批評という言説の生産を支え、また統御している同時代の社会的・文化的制度それ自体に注目することで、小説家と美術との関係を分析する新たな視座が得られるのではないかという着想を得た。第三共和制下のフランスに特有な美術に関する社会的・文化的な受容形態のコンテキストを再現し、その中に小説の挿話を置き直し、プルーストの考察の射程を測定する作業の持つ意義は少なくない。本研究はこのように、美術の社会史における昨今の知見の刷新に基づき、プルーストと美術というテーマを新たな角度から解明することを目的とするものである。最終年度は、一方では19世紀後半の、ゾラの『居酒屋』を始めとする文学作品と個別作家研究の文献、他方では小説というジャンルを一般的に論じた文学理論書を参照しつつ、プルーストがフランス最大の文化装置であるルーヴル美術館をいかに表象しているのかを分析した。その結果、第一に、19世紀後半を通じて、文学的表象の中心がルーヴルの「方形の間」から「グランド・ギャラリー」に移行していったことが明らかになり、プルーストの文学史的位置付けを確定することができた。第二に、プルーストの2つの初期作品の制作年である1895年の幾つかの美術雑誌による美術館論争に注目し、作家研究に新たな歴史的コーパスを提供すると同時に、第三に、その中に小説家の見解を置き直すことで、同時代の室内を歴史的に復元した環境に絵画を配置するという新たな展示法に対する抵抗と、展示室内の絵画点数の減少という配列法の変化が新たな作品解釈の可能性を開くことへの期待という、プルーストの共時的な独自性を指摘することに成功した。これらの研究成果は、『Resonances』および『ヨーロッパ研究』に掲載の各論文で発表された。

  • Research Products

    (2 results)

All 2007 2006

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 19世紀後半におけるルーヴルの文学的表象と美術館の概念-ゾラ・プルースト・美術館-2007

    • Author(s)
      荒原 邦博
    • Journal Title

      ヨーロッパ研究 第6号

      Pages: 173-191

  • [Journal Article] ルーヴル美術館をめぐる想像-ゾラの『居酒屋』からプルーストの『失われた時を求めて』へ-2006

    • Author(s)
      荒原 邦博
    • Journal Title

      Resonances 第4号

      Pages: 182-183

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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