2005 Fiscal Year Annual Research Report
集団正当化をめぐる国際政治の実証研究-理念重視と手続重視の二つの正当化に注目して
Project/Area Number |
04J09918
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多湖 淳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 集団正当化 / 多角主義 / アメリカの安全保障 / 国際機構 / 有志連合 |
Research Abstract |
2年目の本年は、1年目に作成した統計データセットの計量分析に特に力を注いだ。具体的には、国家の規模と集団正当化の「戦略の違い」を巨視的な視点で論じるため、二つの研究課題を設定した。第一にアメリカとフランスの軍事行動における「多角主義」を比較し、それぞれの国で「集団正当化」が果たす役割を分析した。第二にアメリカが率いた有志連合への参加国について計量分析を行い、国連ないし地域国際機構で集団正当化があった軍事行動と集団正当化がなかった軍事行動のどちらが多くの支援を獲得するのかを論じた。 第一の分析ではフランスは国際法を遵守する姿勢をその勢力圏(サブサハラアフリカ地域)においても見せるものの(国際事情で集団正当化を求める)、アメリカは国際法を遵守するために多角主義を選択するというよりも、むしろその国内事情から集団正当化を求め多角主義を選択することがわかった。この研究成果は2006年3月に開催されるInternational Studies Associationの年次大会で発表予定である。 第二の分析については有志連合に参加する国にとって集団正当化の影響が小さくないことがわかった。具体的には国連安全保障理事会のお墨付きがあることが参加国の数を統計的に有意に上昇させ、一方で地域国際機構からの集団正当性の提供は参加国を増やす傾向のないことを確認した。このほか、軍事行動の目的が国際法に鑑みてどのように理解されるのかも重要で、いわゆる内政干渉のための有本連合には参加国が少なくなる傾向を見出した。この研究成果も2006年3月に開催されるInternational Studies Associationの年次大会で発表予定である。また、ある英語ジャーナルにおいてRevise and Resubmitの状態にある。
|