2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代ラテンアメリカにおける地方政治の役割に関する比較研究
Project/Area Number |
04J09941
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 暁 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中南米政治 / 地方分権化 / 地方政府の役割 / メキシコ / ユカタン地方(メキシコ) / 民主主義の定着 / 移民 |
Research Abstract |
ラテンアメリカにおける地方政治の変容は、民主化、地方分権化などの全国レベルでの政治体制・制度面での変化に加え、新自由主義経済政策の導入に代表される経済的な変化、そして移民の増加に代表される社会的変化といった、政治システムとは直接関係のない様々な経済・社会変容と密接に関連している。本研究ではこうした前提に基づいて、メキシコ・ユカタン州を主たるフィールドとし、現地での州・自治体レベルでの政治の実態を調査した。具体的には、同州州都のメリダ市ならびに南部のペト市・オシュクツカプ市、北部のテルチャック市などにおいて、これらの町からアメリカ合衆国への移民の地域社会における役割、そして地方政府の移民との関わり合いについて、聞き取り調査をおこなった。これと平行して、経済活動の変化の一端を探るため、同州南部における野菜や果物など、輸出向け商品作物の導入や、需要の低迷により衰退したものの、根強く生産の続いている伝統的な産品、サイザル麻の生産農家の現状と生産者組合の政治活動についても、聞き取り調査ならびに文献収集を行った。特に、サイザル麻生産の転換点となった1992年の国営ロープ会社の解体については、重点的に新聞・雑誌などの資料収集を行った。これらの調査に基づいた研究成果の一部は、2006年3月のラテンアメリカ研究学会(Latin American Studies Association)サンフアン大会において発表された。来年度は、こうした調査の延長として、分権化が地方政府の機構に具体的にどのような影響を与えたのかを、教育などの行政部門にたずさわる関係者へのインタビューや、同様の他地域に関する研究との比較により、明らかにすることを目標とする。
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