2005 Fiscal Year Annual Research Report
北洋漁業と北方探検における「北洋」イデオロギーの形成過程の研究
Project/Area Number |
04J09961
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
神長 英輔 東京大学, 大学院・情報学環, 特別研究員(PD)
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Keywords | 歴史学 / 歴史社会学 / ロシア史 / 日本史 / 北洋漁業 / 漁業 / 日露関係 / 物語 |
Research Abstract |
1.要約 1.1.19世紀半ばから20世紀後半に至る北洋漁業の歴史の諸問題のうち、外交史と制度史に関わる論点を再検討した。 1.2.北洋漁業の歴史と北方探検の歴史の語りに共通する物語の構造を比較検討した。 1.3.北洋漁業ないし北洋という概念の形成過程を物語理論とネットワーク理論を用いて検証した。 2.詳細 2.1.今年度の研究の目的 今年度の研究の目的は、(1)北洋漁業の通史における諸問題の再検討、(2)北洋漁業と北方探検の思想的関連の評価、(3)「北洋漁業」概念の形成過程の詳細な分析、の三つだった。 2.2.今年度の研究の成果(内容) 今年度の研究成果として下記の三つの見解が得られた。 (1)これまでは1905年のポーツマス講和条約が北洋漁業の権益を確立したという評価が一般的だった。本研究は、ロシア極東の漁業に関するロシア側の研究の参照とこの問題に関わる外交史料の系統的な研究を通じてこの見解を退けた。また、ロシア革命やシベリア出兵に関わる諸問題と関連づけて、北洋漁業の歴史に関わる既存の見解を再検討した。 (2)上記(1)と下記(3)で得られた知見を参考にして、北方探検に関わる同時代の人物評が形成される過程を検証し、後の時代に及ぼした影響を明らかにした。 (3)物語理論を応用することで「北洋漁業」概念の形成過程に関わる詳細な分析を行った。また、北洋漁業の歴史の語り方と日露関係の歴史一般の語り方を比較対照し、そこに形態論的な意味での共通の構造があることを確認した。 2.3.今年度の研究の成果(発表) 今年度の研究成果はロシア史研究会大会(平成17年10月)ほかにおいて公にした。
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Research Products
(2 results)