2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世王家の成立と院政-王家構成員の分析を中心とした政治史、制度史的研究-
Project/Area Number |
04J10001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 圭子 (栗山 圭子) 東京大学, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中世史 / 王家(天皇家) / 院政 / 国際情報交換 / アメリカ / 漢文 / 史料英訳 |
Research Abstract |
(1)中世王家の成立過程の解明 これまでの研究では、主に白河院政以降の王家構成員の在り方を検討し、院の「家」としての「王家」成立を論じてきた。そこでは、院政期「王家」とそれ以前の王家をある種対比的に扱ってきたが、当然のことながらそうした変化は劇的に生起する訳ではない。また院政研究においても、白河親政・堀河親政期に関する研究は、白河院政確立期以降に比して実態解明が進んでいない。そこで、今年度は、前代である摂関期から、「王家」が成立していく過渡的段階の王家の在り方の解明に努めた。 (2)院政期における後宮制度分析 これまで検討してきた国母の政治参加や、皇女の立后の機能的・理念的意義など、王家の女性構成員の「実態」解明に加え、三后(および女院)という地位につくことに伴う律令制的給付の問題や后位附属機関(中宮職・女院庁)設置と運用の在り方といった制度的側面の検討に着手した。 (3)日本史研究の国際化推進にむけて アメリカにおける日本史研究の拠点の一つであるUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)およびUSC(南カリフォルニア大学)で、日本史研究を行う研究者と情報交換をはかり、海外における日本史研究の現状把握につとめた。特に、USCにおける漢文ワークショップに参加し、在外研究者の史料講読能力育成の在り方とその現状について学んだ。 (4)日本中世史史料の英訳 上記した漢文ワークショップへの参加を通じて、海外においては比較的研究蓄積の少ない公家社会研究の進展のためには、基幹となる情報ソースのますますの充実が課題であることを実感し、中世前期の公家日記である『吉記』の史料英訳に着手した。その際、自身の研究テーマの一つである王家(天皇家)研究に関連する立后記事を選択して、史料用語および本文の英訳を行った。報告の際には、背後にある後宮制度全般の紹介にも留意した。
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Research Products
(1 results)